武術の秘伝

また古流の伝え方は実はすぐには理解出来ないような仕組みで作られている。だから型は見ただけでは真似は出来ても、そこに秘められた本当の意味は分からないように出来ている。

型を見て理解をするには、師匠から口伝を頂く必要がある。元々見ても分からないように作ってあるものを、見ただけで理解しようとする事自体が無理なのだ。

古流の武術は伝え残すために、相手を選んできた。だからこそ「秘伝」という言葉がある。口伝に従い鍛錬を日々重ねる、そうやって体を変え、心を磨いて日々を過ごす。そして型を行い流儀の歴史を心と体に染み込ませていく。

それには長い年月がかかる。いや無理やりかけているだけではないか?学びの中で僕はそんな事を理解する様になってきた。

 

一体何のためにかといえば、流儀の秘伝を伝えてよい門人に値するのかを見極めるために長い年月をあえてかけてきたのだ。武術とは伝えるために相手を選ぶ。

武術が国を守り一族を守る武器だった時代、簡単にそれを与えて、間違った使い方をされたり、簡単に裏切られると国や一族の存亡にかかわる問題になった。人が人を見極めるには長い年月がかかる。故に秘伝は隠す。

 

秘伝とは「実は何も難しい事」ではない。知れば簡単に理解が出来て変わるから秘伝は隠す。だから秘伝と呼ばれる特別の「秘技」は無い。たった一言の秘伝を受ければ、その一言で全てが変わる。

ただし秘伝を紐解くには流儀の口伝に従い鍛錬を続け型を繰り返す必要がある事は変わらない。初めから秘伝を聞かせて頂いて鍛錬をすれば僅かな日々で流儀の技を理解する事が出来る。

 

「月刊秘伝2014年8月号 p90より」 著者は平直行氏

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